総評
今年の総評としましては、複雑な形をした働く車を丁寧に観察して描いた作品が特徴的でした。
実際に工事現場に行かれてスケッチしているのでしょうか、働く人の様子もリアルに表現されていて、とても臨場感のある作品が多かったです。
一方で、宇宙や未来の工事現場を描いた作品など、空想的で独創的な作品は少なかったように感じました。次回は「夢の働く機械」とか「未来の工事のようす」など、広がりのあるテーマを加えても良いかもしれません。
良い作品とは、美しいだけではなく「これは一体何なんだろう?」と想像させてくれるものです。そんな作品との出会いを楽しみにしています。
(成安造形大学 美術領域 現代アートコース 准教授 宇野君平)
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手前と奥にダンプカーとショベルカーを描いたり、宇宙服を着て働く人を上下に描くことで、火星の複雑な地形や奥行きのある立体的な空間を表現しています。細部を丁寧に描くことで、まるで本当に火星で工事しているようなステキな作品です。
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小さく描かれた工事の様子が、お互いに関係しあって大きな建設現場を表現しています。小さな部分が集まって画面全体を作り出す魅力的な絵画です。
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夢のブルトーザーをダイナミックに描き、クレーンやドリルやハンドアームにロードローラーなど細部を丁寧に表現しているので、楽しさが伝わる作品です。
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奥から手前に大きく伸びたアームが、画面全体に奥行きや動きを感じさせます。ウィ~ン、ガシャ~ンとパワーショベルの音が聞こえるようです。
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背の高いアースオーガが、空に向かって伸びやかに描かれています。白く大きな雲や遠くに見える観覧車が、夏らしいの空の様子や広がりのある風景をしっかりと表現しています。難しい構図に挑戦したスケール感のある力作です。
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三脚を運ぶ何気ない表情、窓を清掃する後ろ姿、測量の様子など、どれもよく観察しています。画面に哀愁の漂う素敵な作品です。
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ショベルカーの運転席や手元の動きが忠実に再現されていて、とても臨場感のある作品です。
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ホイールローダーがダイナミックに土砂を下ろす様子がリアルに描かれています。特に、落下する土砂の表現が魅力的です。
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コマ割りというマンガの手法によって、1つの画面に異なる時間や空間を描くことで、日常の断片から鑑賞者が物語を想像できるユニークな作品です。