総評
夢けんプラザ絵画コンクールの審査も今年で6回目となりました。回を重ねるごとに応募作品や参加していただく学校も広がり、このユニークな活動が地域に根付いてきているのを実感します。今年の特徴は、特に中学生の部において「郷土滋賀の建設物」をテーマとした作品が多く集まったことが印象的でした。どれも郷土愛に溢れた作品が多く、審査員の間でもロケ地や作者の意図を推理したり、審査会場も大いに盛り上がりました。個人的には、応募作品で町歩きマップを作って、実際に建設現場や建設物を巡ってみたらきっと面白いツアーになるだろうと、夢が膨らみました。今後も、この活動が子供たちの郷土愛を育み、将来はその作り手となる人材の育成に繋ることを願っています。
(成安造形大学 美術領域 現代アートコース 准教授 宇野君平)
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工事現場で働く人が、画面いっぱいに描かれています。その表情はふくよかで可愛らしく、ショベルカーで土を掘る人と、ダンプカーで土を運ぶ人の様子が伝わってきます。まるで、二人の会話が聞こえてきそうな素敵な作品です。
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カラフルな働く機械が、とても魅力的な作品です。また、バリケードやカラーコーンも虹色だったり、工事現場が楽しくなる工夫がいっぱいです。
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働く機械が、台風で倒れた木を力強く摘んでいる様子が丁寧に描かれています。また、樹木の葉っぱや樹皮、作業員の働く様子が繊細に表現された秀作です。
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奥から手前に大きく伸びた虹と、左右に広がる琵琶湖大橋のダイナミックな構図が素晴らしい作品です。また湖面からの低い視点が、その効果を引き立てています。
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月面や宇宙など暗めの背景に対して、黄色い働く機械や星々が鮮やかに映える、とても美しい作品です。また細部も丁寧に描かれており、背景の色彩も複雑な濃淡によって豊かな空間を表現しています。まるで本当に月面で働く様子を見て描いたような、説得力のある優れた作品です。
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ホイールローダーの複雑な形状をしっかりと描くことで、迫力のある画面に仕上がっています。とても丁寧な作品です。
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ヴォーリズの教会が美しく描かれています。見上げるような構図は、その前に立つ少女の視点を追体験しているような、とても幻想的な気持ちにさせる作品です。
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様々な働く機械が丁寧に描かれており、作者のトンネル工事に対するロマンを感じる素敵な作品です。
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特に石の表現が魅力的な作品です。手前の狛犬や台座の石は、強いコントラストと細部の描写によってその質感と光を見事に表現しています。また地面の砂利の石、自然石を活かした塀の石、石段の石など、繊細なタッチと色彩で描き分けています。大宝神社と2対の狛犬も丁寧に描かれた力作です。
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ピンクやブルーの機械に黄色い地面や緑の木、赤いお城と青い空に黄色い旗や紫の風船など、補色対比の効果を活かして鮮やかな画面を表現した秀作です。
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美しい緑青の屋根が印象深い作品です。光の当たり具合を意識して、屋根や窓ガラスの色に変化を加えながら描くことで、堂々とした存在感が表現されています。
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これは幼い頃の記憶なのか?動画や画像を通じた体験なのか?震災から8年、その記憶が薄れてゆく社会の問題に対して、描くことの意味を考えさせる作品です。