総評
夢けんプラザ絵画コンクールの審査も今年で7回目となりました。
この7年間を振り返ると、回を重ねる毎に応募作品や参加校も広がり活動を継続させることの大切さを実感します。
今年の特徴として、小学校高学年から中学生の応募作品も増え、新技術を活用した近未来のイメージや、自然災害や環境に配慮した地域の街づくりを考えさせるようなメッセージ性の強い作品が印象に残りました。
また、お父さんやお母さんの働く姿や自宅の工事の様子を描いた作品も印象に残りました。
絵を描くという行為を通じて、こどもたちが、人との繋がりや未来の社会や地域の歴史に関心を深めるきっかけとなればと思います。
この活動を継続させることで、クリエイティブに社会に貢献していける人材の育成に繋がればと願っています。
(成安造形大学 美術領域 現代アートコース 准教授 宇野君平)
下から見上げるような構図は、ロボットのダイナミックさを強調しています。
バケットやドリルのついたアームのギシギシとした表現は、土や岩の重さや硬さが伝わり、ロボットの力強さが表現されています。
手前のコントローラーや右下の作業員も描くことで、作品全体に映画のような物語を感じさせる優れた作品です。
巨大なダンプトラックを緻密に描いた秀作です。画面いっぱいに描く大胆さと細部まで細かく描く緻密さがこの作品の魅力です。
工事現場を描くことで、屋根をじっくり眺めたり、壁の中を覗き込んだり、普段とは違う視点を体験しています。 その新鮮な感動が画面から伝わる素敵な作品です。
絵の中に登場するたくさんの人々の会話が聞こえてくるようです。 「何ができるの?」と問いかけると、作品や作者と対話ができる楽しい作品です。
2020年に開催される東京オリンピックに向けて空を飛ぶ車が実現しようとしています。 この作品は、私たちが想像する近未来の世界をリアルに表現しています。 ドローンとパワーショベルが合体した空飛ぶ重機や、ガラス張りで有機的なフォルムの建築物などが、この作品に強い説得力を与えています。
人口増加に伴い将来は地下空間の開発が進んでいるというメッセージ性の強い作品です。 大地と人を繋ぐための技術のあり方を問うているような深い作品です。
近江八景の一つである浮御堂を描いた美しい作品です。 特に雲や湖面の表現が素晴らしく、空間の広がりや湖面に反射する光を繊細に捉えています。
夕暮れを背景に逆光をイメージして黒一色で描かれた鉄塔や人の姿がロマンチックな作品です。 植物や電線のシルエットも効果的で構図の美しい作品です。
正確に描かれたパワーショベルの具象的な表現と、激しい筆致で表現された抽象的な表現の組み合わせが面白い作品です。 特に、この抽象的な表現が魅力的で、重機の激しい動きや飛び跳ねる土砂のようにも見えますが、 現場で働く人の感情や作者の感性といった具体的な形で表せないものも表現しています。
比叡山延暦寺の複雑な構造から生まれる陰影や木や石といった質感の違いなどを、色彩を工夫して丁寧に描いた力作です。
全体的にシックな色調で描いた画面の中に、月夜に照らされた天守閣や星座など鮮やかな色を対比させることで、 幻の安土城を幻想的に表現しています。
瀬田の唐橋の風景を、丁寧に観察して描いた秀作です。 立体感を表現するために、光の向きを工夫しているのが随所に感じられます。